今回は高校生の油絵の生徒さんの授業の話をします。
上の写真はその生徒さんの油絵で、左が初めて描いた絵で、右が2枚目の絵(また制作中)です。
右の絵は白黒ですが、今は色を使っている段階なのですが撮影をし忘れました。
左右の絵を見ると立体感の違いがはっきりわかると思います。
左は比較的平面的な感じで、右は立体的に見えます。
1枚目のと2枚目の油絵なので、技術が急激に上がったということはありません。
本題に入りますが、では何が変わったかというのはブログのタイトル通り、「デッサン的な意識」をしたことであり、
それを意識させるために、描くプロセスを変更しています。
先に結論を言うと、「デッサン的意識」というのは「明暗で物を捉える」ということです。
以下説明していきます。
まず、こちらの作品の場合は初めて油絵具を使ったこともありますが、モチーフ捉え方としては「輪郭」と「色」で捉えています。
例えば、布に落ちる木の影影などを描いていますが、基本的にモチーフの固有色に注目して描いている印象です。
またその関係で、投影させる「影(shadow)」ではなく、モチーフの「陰(shade)」の変化がほとんど描かれていません。
このような表現も全然普通にあるのですが、その場合は基本的に平面的な画面になります。
2枚目の絵はまだ描き途中で白黒の状況ですが、先程話したようにこちらの方が明らかに立体感があります。
理由としては、最初に話たように「デッサン的な意識=陰影でモチーフを捉える=3次元的」のアプローチをしているからです。
以前ブログで、物の立体感の話をしましたが、少し乱暴に言うと、色の3要素(明度、彩度、色相)で物を立体的に見せる要素は明度(明暗)であるという話をしました。
油絵で「グリザイユ」という古典的な技法があり、意味合いとしては単色で明暗を描いた後で色を塗っていくという方法があります。
イメージとしては、油絵具でデッサンをした上に色を塗っていく感じです。
デッサンというのは光の変化=陰影であり、色の3要素で言うと「明度」になります。
モノクロ写真は、色がないからと言って立体的に見えないということはありません。
左:普通のカラー画像 中央:モノクロ画像(明度のみ表現) 右:明度を無くした状態(彩度と色相がある状態)
最初に話したように、今回の2枚の油絵は。生徒さんが描いた初めて描いた作品と2枚目にになるので、極端に技術が上がったということありません。
そのようなことで、自然に立体的な絵を描くには「デッサン的な陰影(明度)を意識してのモチーフ描く」ということが大切になるというお話でした。
ちなみに今はこのような状態で進んでいます