生徒さんによくこの話をするので、ブログにまとめておきます。
先に結論を言いますと、「本来のデッサンとは、物の形を描くことではなく、
光の変化(明暗)を色の明暗=明度に変換して描くことであり、
基本的に物の立体感は明暗(明度)が基準になるから」ということになります。
といっても、分かりづらいので具体的に説明していきます。
※説明がとてもわかりやすいので「イメコンフリー素材」というサイトの画像を使用しています。
基本的に、物が立体的に見えるかは上記の画像の「明度」が影響します。
イラストなどを含め、「何か自分の絵に立体感がない」と感じたときは、その絵を白黒にして明度で見てみましょう。
そうすると、メリハリがなく全体的に似た印象になっていると思います。
ちなみに、「明暗」と「明度」は、基本的に同じ意味合いと思ってもらって大丈夫です。
厳密には、「明暗は光の明るさ暗さの変化」で「明度は色の明るさ暗さの変化」となりますが、
私の感覚としては、絵画計の人は「明暗」、デザイン系の人は「明度」と言う人が多い印象があります。
主体が光なのか色なのかの違いです。
明度・明暗については、下の画像を見れば、わかりやすいと思います。
左:カラー画像 中央:白黒(明度のみの)画像 右:明度をなくした画像
冒頭の画像と同じものですが、画像の左がカラー、中央が白黒の画像で、右は、モチーフの色の中で中間ぐらいものベタ塗りをしています。
言い換えると、中央の白黒画像は「彩度と色相を無くした状態=明度見た状態」で、右の画像は「白黒(明度)の要素を無くした状態」です。
これを見えればわかる通り、物の立体感というものは基本的に白黒=明度=光の変化が基準になります。
また、色については厄介なある問題点があります。
それは、色(色相や彩度)から視覚的に感じる明暗や前後感の印象と、実際に明度(白黒)で見た場合のズレが多々あるからです。
例えば、上のカラー写真の黄色い丸を見てもらうと、明度で見た場合、違いはほとんどありません。
このように色相や彩度によって、見える印象は変り、また隣り合う色の関係でも大きく変化することがあります。
さらに、使用する色数が増えれば増えるほど複雑になるので、3次元的な空間(奥行き)を出したい場合は、
白黒(明度)で見たときにどう見えるかを基準にするとこが大切です。
基本的に3次元的な奥行きを描ける人は、意識的か無意識的かに関わらず、カラーで描いたものを脳内で白黒に変換して見れる力があります。
そのような力を身に付けるために、デッサンは白黒(光の変化としては明暗、色としては明度)で描いていると言っていいでしょう。
また、自分が描く際には、スマホでモノクロ写真を撮影したり、以前ブログで書いた緑色の暗記シートを使用することもお勧めします。