↑画像は今回のブログと関係ありません
「自宅で油絵を描きたい」という生徒さんがいたので、講師が考えた環境の作り方と具体的な道具を書きます。
まず、油絵などの木枠に張られたキャンバスやパネルの絵画は、イーゼルで描くと一般的に思われがちですが、
プロはほとんどイーゼルを使用していないと思います。
小作品などの場合は、使用も考えられますが、例えば、美大では基本的に壁にビスを打ってそこに絵をかけて描きます。
利点としては、
①イーゼルで使用するスペースを無くせる
②壁に直接掛けてあると、展示したときのイメージがわかりやすい
③大きいサイズの作品はそもそもイーゼルで描けない
このようなことが考えれます。
しかし、自宅の場合は賃貸であったり、そもそも壁が石膏ボードで出来ているものが多いので、ビスが抜けてしまいます。
アンカーというものを噛ませれば、ビスが打てるのですが、ベニヤなどの木製の壁でないとビス打ちは基本的にできません。
また、大きな穴が残るので、気軽に外すということも現実的はありません。
↓石膏ボードにビス打ちに必要なアンカーとはこんな商品です。さらに下穴を開ける必要があります。
卓上イーゼル
ということで、上記のことを考慮して、なるべく低価格で簡単な道具をまとめます。
また、今回は実際には試してないものもあります。
まず、一番手軽なものは卓上イーゼルです。
教室でも市販のものや、加工して作る方法などを紹介しています。
小さい作品しか描かない場合はこのようなものが、一番安価でいいかなと思います。
ホームセンターなどで売っているミニイーゼルなんかも、滑り止めのゴムなどを敷けば使えそうです。
ただ、こういうイーゼルは描くため用ではなく、ディスプレイ用なので若干不安です。
専門メーカー(ホルベイン)が販売している、ちゃんとした卓上イーゼルも紹介しておきます。
こちらは以前に、生徒さんが購入したものでブログでレビューもしています。
ちなみに、読書台を加工して作った卓上イーゼルもブログで紹介しています。
普通のイーゼル
スペースがあれば、普通のイーゼルでもいいと思います。
注意点とし、アマゾンなどで販売されている、専門メーカーではない商品は個人的には結構疑問に思っています。
というのも、教室で使用しているイーゼルは講師の手作りなのですが、格安のイーゼルは使用している木の厚みが薄く強度的に心配になります。
具体的に的には、イーゼルに足を置いて体重をかけると木がしなりそうな厚みな印象です。
また、イーゼルはカフェなどに置いてあるような「ディスプレイ用」と「デッサンや絵画用」のイーゼルで木の厚みや強度が違いますので注意しましょう。
当然、ディスプレイ用の方が厚みが薄く、安価です。
また、自宅で絵画用に使う場合は折りたたみ式の中途半端なものを購入しないことをお勧めします。
ただ、専門メーカーの商品で、教室で使用しているようなサイズものは1万円以上するのでそれなりに高額です。
格安の謎メーカーでも、基本的にイーゼルに体重をかけなければ問題がないようにも思いますが、講師的にはあまりお勧めは出来ないかなという感じです。
↑専門メーカーのしっかりした商品です。
他に講師が知っているメーカーとしては、ターレンスやアムス、ホルベインなどがあります。
大きさのイメージが分からない場合は、メジャーなどで測ってみましょう。
↑謎のメーカーの中では日本人の作家が関わっているので、ありかもしれない商品。
一番の違いは、先程も書いたように木の厚みが若干薄いことです。
また、上記の商品は作家が監修とありますが、絵描き=木の強度に詳しいと言う訳ではありません。
講師は実際にイーゼルを自分で作ったり、教室や自分の仕事場のリノベーションで、かなりの木材の加工の経験があり、その視点から感想です。
壁について(ある程度大きい作品を描きたい人向け)
①突っ張り棒式のパーテーション
ホームセンターで見かけていいなと思いました。
このパーテーションを設置してフックなどを付け、それに絵を引っ掛けて描く方法です。
パーテーションの幅は作品サイズが50号以内なら60cm、それ以上なら90cmあったほうがいいかなと思います。
フックは100均のものでいいと思いますが、フックの長さとしては1~1.5cm程度あれば十分で、それ以上だと木枠から余ってしまうのでカットする必要があると思います。
その場合は、金切のこぎりなどで切るのがちょっと大変かなと思います。
また、フックが抜けないように輪ゴムやビニールテープなどで固定すると安定するかなと思います。
↓ビスの代わりになるもの
↑こういうフックの先端を1.5cm程度に金切りのこぎりで切る。さらに、出来ればやや上めに曲げて作品が落下しないようにする。
加工が結構大変です。
↑こういうフックの先端をペンチ曲げて水平ぎみにする。お手軽。
↑こういう棚の上に作品をのせる。一番お手軽。
②2BY4材系のつっぱり棒
こちらは2BY4の木材でつくる突っ張り棒方式のためのパーツです。
写真をクリックすると具体的な使用例が見れます。
ちなみに、こちらの方がちょっと大変です。
壁のサイズを測って、突っ張り棒支えるパーツルに合わせて、ホームセンターで2BY4材をカットしてもらいましょう。
・パターン1 ビスを直接打つ
2BY4の2本の柱の水平を測って、1本づつビスを打ちましょう。
ビスの場合、電動ドリルが必要なのでない場合は、太めのクギでもいいと思います。
そこに木枠を引っ掛けて描きましょう。
注意点としては設置した幅以下の作品は掛けられないので、似たサイズを描く人にはいいかもしれません。
・パターン2 合板で壁を作る
2本の柱を設置して、そこに厚み12mm程度の合板(コンパネなど)にビスなどで固定しましょう。
合板は切りたいサイズを事前に考えておいて、カットをしてもらえるホームセンターで切ってもらいましょう。
こちらの方が、大きいものから小さいものまでいろいろ対応出来ます。
壁の幅は合板の横幅サイズの91cm以内が無難かと思います。
ちなみに、講師はディアウォールをつかって実際に簡易的な壁を制作したことが大学時代にありますが、アジャスタータイプの商品のほうが微調整がしやすそうです。
また、昔よりも2BY4材を使った商品は、いろいろなパーツが販売しているので、他にもいい方法があるかもしれません。
・パターン3 パンチングボードで壁を作る
パンチングボードだと、個人的に穴が気になりますが手軽に壁が出来て、フックなどの取り外しも簡単です。
ただ、強度的にどうかわからないので専用の留め具を使ったほうが無難かと思います。
また、フックは2点で固定するタイプを購入しないと、動いてしまうと思うので注意しましょう。
床について
床については、絶対に液体を染み込ませないことに養生することが大切です。
特に油絵の溶剤や筆洗器の中身をこぼしてしまうと、床が傷んでしまいます。
例えば、対策として、厚めのブルーシートなんかを敷くといいのですが、見栄えが悪いです。
ということで、部屋の見栄えもある程度気にした方法を考えてみました。
①シルバーシートにしてみる
ブルーシートだと、いかにもと言う感じで見栄えがよくないので、代わりにシルバーシートを敷いてみてもいいと思います。
基本的にブルーシートより厚みがあり、実際の色はグレーっぽいです。
ホームセンターに売っています。
②ブルーもしくはシルバーシートの上に、ジョイントマットを敷く
アトリエもりのさとは、昔は家の3階をしていたのですが、そのときの教室はこのような仕様にフローリングの床を全面していました。
厳密に言いますと、シートは「養生シート」という業務用の物を使用していますが、50Mなどで販売しているので他に用途がない場合は、お勧めしません。
ジョイントマットは、汚れや傷がついても、1枚単位で交換出来て便利ですし、いろいろな種類があります。
また、基本的に汚れることが前提なので、明るい色よりも、暗めの色のジョイントマットのほうが、汚れが目立たないのでお勧めです。
↓ちなみに、養生シートはこんな商品です