<「メグとばけもの」Odencat株式会社 https://odencat.com/bakemono/ja.html>
※ 画像素材は公式HPのプレスキットを使用しています
(2024/7/13 記事の一部を加筆・修正)
講師はたまにゲームをするのですが、今回は最近プレイしたゲームから、表現全般の「抽象度」について書きたいと思います。
抽象度の詳しい説明は、後々していきます。
上の画像は、最近発売した「メグとばけもの」というゲームの一場面で、個人的にとても美しく見えます。
シナリオの流れや、音楽などの演出も影響しているのですが、この一枚絵だけでも、やはりそう感じさせてくれます。
今の時代のリアルな表現があふれている中でも、チープさを感じません(これは主観が入っているかもしれません)。
では、リアルな表現があふれる中、ドット絵表現の作品が今だに出て続けていて、それを魅力的に感じるのは、なぜなのか考えてみます。
これは、少し考えれば当たり前のことで、例えば、小説(文章)がドラマや映画などの映像作品に、必ず劣るということはありません。
また、昔の文体や表現だから、その本が最新のものより劣るということも、当然ありません。
つまり情報量が多い=より優れてるというわけではありません。
先程の抽象度の話をすると、基本的に要素が少ないほど、表現の抽象度は上がります。
(※抽象度の意味合いは他にもありますが詳しくは省略します)
例えば、上記のような小説(文章)は映画(映像、音声)よりも抽象度が高くなります。
ゲームも、リアルなハイポリゴンの表現よりも、ドット絵のほうが要素が少ないので、抽象度が高くなります。
そして、基本的に抽象度(余白)が高いほど、見る側の人が介入(補うこと)が出来る要素が増えます。
例えば、小説や、漫画などを読んで、その登場人物がどんな声なのかは、各々が想像します。
映像化したときに、「自分のイメージと何か違う」なんて感じたことは誰でもあるのではないでしょうか。
これを逆にすると抽象度が低い、リアルなストーリー設定や視覚的表現は、作る側が全て責任をもって作らないとネガティブな意味の違和感になってします。
例えば、ゲームでシリアスな場面なので物語がチグハグで笑えてしまったり、リアルな世界観なので動きや動作が不自然で間抜け見えるなんてことがあります。
情報量が多い=優れている訳ではない
これは、少し考えれば当たり前のことで、例えば、小説(文章)がドラマや映画などの映像作品に、必ず劣るということはありません。
また、昔の文体や表現だから、その本が最新のものより劣るということも、当然ありません。
先程の抽象度の話をすると、基本的に要素が少ないほど、表現の抽象度は上がります。
(※抽象度の意味合いは他にもありますが詳しくは省略します)
例えば、上記のような小説(文章)は映画(映像、音声)よりも抽象度が高くなります。
ゲームも、リアルなハイポリゴンの表現よりも、ドット絵のほうが要素が少ないので、抽象度が高くなります。
そして、基本的に抽象度(想像するための余白)が高いほど、見る側の人が介入(補うこと)が出来る要素が増えます。
例えば、小説や、漫画などを読んで、その登場人物がどんな声なのかは、各々が想像します。
映像化したときに、「自分のイメージと何か違う」なんて感じたことは誰でもあるのではないでしょうか。
これを逆にすると「抽象度が低い、リアルなストーリー設定や視覚的表現は、作る側が全て責任をもって隅から隅まで作らないとネガティブな意味の違和感」になってします。
例えば、ゲームでシリアスな場面なのに物語がチグハグで笑えてしまったり、リアルな世界観なので動きや動作が不自然で間抜けに見えるなんてことがあります。
単純化されているからこそ、「受け取り手の想像」で豊かになる表現
<「メグとばけもの」Odencat株式会社 https://odencat.com/bakemono/ja.html>
※本編は日本語でプレイ出来ます
ゲームのドット絵のキャラクターの場合、ちょっとした表情しか出来ないことが、様々な想像を広げ、結果豊かに見えることがあります。
ドット絵のゲーム表現は、そのような受け取りて(プレイヤー)が想像で介入出来る幅の広さ=抽象度の高さが豊かさを生んでいると、講師は考えます。
このように、「最先端の技術や表現=優れている」のではなく、
「自分が使っている技術や表現を目的に対していかに最大限に使うか」が、当たり前ですが重要な訳です。
そして、どのくらいの抽象度にするかは「何を表現したいか」が大前提で、「何が出来るか(予算、技術、時間など)」でも変わります。
想像の幅が少ない分、責任をもって作り込む必要がある「リアルな(抽象度が低い)表現」の難しさ
冒頭でも話しましたが、抽象度が低いリアルな表現には、徹底的に作り込むという難しい問題があると講師は考えます。
もちろんドット絵などが作り込まえれていない訳ではなく、苦労するジャンルの違いという感じです。
しかし、リアルの方が基本的に予算も時間もかかります。
ゲームの例えだと、凄くリアルな人物表現であればあるほど、ちょっとした仕草違和感が目立ちます。
凄くリアルなグラフィックのイケメンの人物が家の中を走っているのに、廊下の角をうまく曲がれず壁にぶつかったり、
そのまま前進し続けたりするのは、個人的にとても面白く感じます。
「そんな奴いないだろっ!」というツッコミをしてしまいます。
これは、どんなに高級ブランドでオシャレな服装をしていても、一つシミや穴が見つけてしまうと、自然とそこが目立って気になってしまうのと似ていると思います。
映像は日々進化するが、シナリオはそうはいかない(リアルな表現の大きなの問題点)
映像技術の進化と共に膨大に増える情報量に対して、シナリオはそんな簡単に進化しない、むしろ劣化する可能性が十分にあることが、リアルな表現の大きな問題だと講師は考えます。
例えば、物凄くリアルな映像で、重厚なファンタジーの世界を作っているのに、シナリオが子供が考えた話のようでは、明らかに違和感があります。
基本的に、リアルな映像にはリアルな世界観がないと、上記の「服のシミ」のように、悪目立ちしてしまいます。
しかし、シナリオはグラフィックのように常に進化していく訳ではないので、最新のグラフィックに合わせたシナリオというのは相当難しいと思います。
このように映像だけに限らず、抽象度を低く、リアルになればなるほど、ちょっとした違和感が目立ってしまいます。
そして、受け手(プレイヤー)が補うことの出来る幅が少ないので、製作者側が違和感がないように責任を持つ必要が出てきます。
だからこそ、「技術的に優れている=優れたもの」にならないのだと講師は考えます。
何でも自由に出来るようになればなるほど、それを扱うのは難しくなるわけです。
技術に使われるのではなく、自分が使うようにコントロールするが大切なことは表現全般に言えることです。
また、当然「ドット絵=良い」という訳ではないので、特に今の時代は上手く使わないと凄くチープな表現になってしまいます。
「なぜアンパンマンが空を飛べるのか?」疑問を持つ人は基本的にいない
絵本のような世界設定であれば、少し無理があったとしても、「まぁ、絵本だからな」と納得して気にならないということがあります。
「なぜアンパンマンが空を飛んでいるか?」ということに対して、科学的な根拠がないことに違和感を感じる人はまずいないでしょう。
進化するドット表現
ドット絵のゲーム表現の話を戻すと、最近は「HD-2D」という2次元のドット絵に3次元的表現を加えたものがあります。
下に具体定例として、わかりやすい動画を埋め込みました。
一見すると古臭く、廃れたとされる表現でも、現代の技術や視点を組み合わせることで、新しい表現が生まれることがあります。
現在の流行ばかり追うのではなく、過去の表現を現代の視点で考えてみることで、表現の幅が広がることもあります。
<『HD-2D版 ドラゴンクエストIII』ティザームービー スクウェア・エニックス>
基本的なプロの考え方は足し算ではなく「引き算」
何かを表現する場合、どのくらいの抽象度にするかはとても重要な選択です。
自分が出来るからといって、何でも詰め込みすぎないで、必要なことだけを選ぶ、「引き算的な考え方」が大切です。
そのためにも、表面的なことに振り回されずに、「一言でいうと何を表現したいか」をまず明確にしていきましょう。
それを的確に表現できれば、使い古したような表現にも新たな輝きが生まれるでしょう。
今回画像を使用させていただいた「メグとばけもの」について簡単に紹介したいと思います。
上記の動画をご覧いただければ、大体の感じは伝わるかなと思います。
マザーシリーズやポケモン、アンダーテールなどの作品の影響も感じられる、魅力的な作品です。
また、音楽もとても魅力的で、情景により広がりを感じさせてくれます。
登場するキャラクターも個性的で魅力があり、本編では描かれていない、各々ストーリーがあることも匂わせています。
ゲームの難易度としては、比較的簡単なので、ストーリーが気になる人は、是非プレイしてみることをオススメします。
「メグとばけもの」
Adventure RPG
Odencat株式会社
プラットフォーム Nintendo Switch / Steam (PC, Mac, Linux) / Xbox X|S One