<「メグとばけもの」Odencat株式会社 https://odencat.com/bakemono/ja.html>
※ 画像素材は公式HPのプレスキットを使用しています
(2024/7/13,2025/4/11 記事を大幅に加筆・修正)
講師は時々ゲームをしますが、今回は最近プレイした「メグとばけもの」というゲームをきっかけに、表現における「抽象度」について考えたことを書いてみます。
このゲームには印象的なシーンが多く、上の一枚絵だけでも強く心を動かされました。
リアルな映像が当たり前になった今でも、ドット絵には不思議とチープさを感じず、美しさを感じます。
なぜなのでしょうか?
情報量が多い=優れている訳ではない
たとえば小説は映像より情報が少ない表現ですが、それだけで劣っているわけではありません。
文章だけの小説が、映画やドラマよりも深く感じられることもあります。
つまり、表現は情報量の多さだけで優劣が決まるものではないということです。
「抽象度が高い表現」の魅力
表現は要素が少ないほど「抽象度」が高くなります。
例えば、小説は映像より、ドット絵はリアルな3D表現よりも抽象度が高いと言えます。
抽象度が高い表現には「余白」があり、受け手が想像で補える余地があります。
たとえば、小説を読んだときに登場人物の声や雰囲気を自分で想像した経験はありませんか?
映像化されたときに「イメージと違う」と感じるのは、この余白がなくなるからです。
「抽象度が低い表現」の魅力と難しさ
逆に、リアルな表現(抽象度が低い)では、細部まで違和感なく作り込む必要があります。
たとえばリアルなCGキャラクターが不自然な動きをすると、一気にチグハグに感じてしまいます。
これは「オシャレな服にシミがあると、そこばかり目立つ」のと似ています。
つまり、リアルであるほど、少しの粗が大きな違和感に繋がるのです。
映像は進化するが、シナリオはそうはいかない
映像表現の技術は年々進化していますが、シナリオや内容が常にそれに追いつくわけではありません。
リアルなグラフィックであっても、中身のストーリーが浅ければ違和感が際立ちます。
情報量が多くなればなるほど、表現の整合性が求められる難しさがあります。
ドット絵(抽象度の高い表現)の強みは「想像の余地」

<「メグとばけもの」Odencat株式会社 https://odencat.com/bakemono/ja.html>
※本編は日本語でプレイ出来ます
ドット絵では、キャラクターの表情や動作はシンプルで限定されます。
だからこそ、プレイヤーはそこに自由に感情や意味を想像し、豊かに感じることができるのです。
「技術的に優れている=表現として優れている」とは限りません。
限られた表現で、目的に合わせて最大限の効果を引き出すことの方が大切です。
表現は、コントロールが大事
今は多くの表現技術が手に入りますが、それを自分がどう使うかが重要です。
技術に振り回されず、自分の表現を支える道具として使いこなす必要があります。
自分が出来るからといって、何でも詰め込みすぎないで、必要なことだけを選ぶ、『引き算的な考え方』が大切です。
もちろん、ドット絵が常に優れているというわけではありません。
意図がなければ、ただ古くさく、安っぽく見えてしまうこともあります。
アンパンマンが空を飛べることに違和感を感じない理由
絵本のような抽象度の高い世界観では、多少の矛盾も受け入れられます。
「なぜアンパンマンが飛べるのか?」と疑問を持つ人が少ないのは、抽象度が高く、自由な想像が許される世界だからです。
進化するドット絵の表現
最近では、「HD-2D」のように、ドット絵と現代的な技術を組み合わせた新しいスタイルも登場しています。
古く見える表現も、新しい技術と組み合わせることで今の時代に合った魅力を生み出せるのです。
まとめ
技術の進化は素晴らしいですが、表現の豊かさは情報量だけでは決まりません。
抽象度と想像の余地、そして自分の目的に合った使い方が、作品の魅力を決めるのだと講師は考えます。
最後に、今回画像を使用させていただいた『メグとばけもの』について、簡単にご紹介したいと思います。
上記の動画をご覧いただければ、作品の雰囲気は大まかに伝わるかと思います。
どこか『MOTHER』シリーズや『ポケモン』、『Undertale』などの影響も感じられる、温かみのある魅力的な作品です。
音楽もとても印象的で、場面ごとの情景にさらなる広がりを与えてくれます。
登場するキャラクターたちも個性的で魅力があり、本編では描かれていない、それぞれの背景や物語があることをほのめかす演出も興味深いです。
ゲームの難易度は比較的やさしめなので、物語を楽しみたい方にもおすすめです。
ぜひプレイしてみてください!
「メグとばけもの」
Adventure RPG
Odencat株式会社
プラットフォーム Nintendo Switch / Steam (PC, Mac, Linux) / Xbox X|S One