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ダイソー「デッサン鉛筆」レビュー


<ダイソーのデッサン鉛筆 8本入>

 

 

先日、ダイソーに行ったところ、上の写真のデッサン鉛筆を見つけました。

ある程度のデッサン用具に知識がある人であれば驚きの商品です。

何が驚きかというと、安さです。

一般的なデッサン用鉛筆は1本130円前後しますが、これは8本違う種類が入っているという、正気とは思えない商品です(笑

ということで、実際に買って試してみました。

 

 

まず、この商品の前提として

「どんな品質だろうと文句をいってはいけない」ということがあります。

とにかく、110円で8種類の鉛筆を販売していることが自体がとても異常です。

これで高品質のものが出来れば、専門メーカーは太刀打ちできません。

 

といいつつも、先に結論を言うと、

上に書いたように、「デッサンを描くならば、専門メーカーの鉛筆も1本130円前後なので、素直にそちらを買いましょう」

という感じになります。

ダイソーのデッサン鉛筆は使い方によっては使えなくもないけれども、やはり使いづらいというのが正直なところです。

しかし、その心意気は素直に素晴らしいと思います。

ちなみに、ダイソーに限らず、専門メーカーの鉛筆を買ったほうがいい理由も、後で書きたいと思います。

  

 


ダイソーのデッサン鉛筆(6B,4B,2B,HB,F,H,2H,4H)

 

右:ダイソー、中央:ステッドラー マルスルモグラフ、左:三菱 ハイユニ

 


 

ダイソーの鉛筆を開けてみると、6B,4B,2B,HB,F,H,2H,4Hの8種類が出てきます。

イメージとしては、ステッドラーの鉛筆を意識してるように思えます。

ステッドラーのマルスルモグラフは、個人的にはとてもオシャレに見え、見た目が一番好きです。

 

 

 

 




 

軽くですが、実際に使ってみました。

ちなみに使用する用紙もダイソーに売っているマルマンのスケッチブック(画用紙)です。

マルマンは専門メーカーで、教室でも手頃なものを使用していますが、紙の質感に違いはないと思うので、オススメです。

 

ダイソーのデッサン鉛筆の問題としては2つあります。

まず、1つ目ですが、描いた最初の印象としては、「とにかく硬く、粘りがない!」という感じでした。

ある程度知識がある人向けの説明を先にすると、

ステッドラーのマルスルモグラフ(以下ステッドラーと略します)の方が柔らかく、「粘りがある」と感じたことが自分で驚きでした。

もう一つは、F~4Hの硬い鉛筆は、濃さの違いがわからなかったことです。

 

 

 

教室で使用しているスケッチブック


 

 

デッサン用鉛筆でメジャーなのは、ステッドラーと三菱のハイユニです。

2つの違いとしては、ステッドラーの方が固く、粘りがないので、ハイユニの方が使いやすいという人が多い印象があります。

講師も、絵を始めたときはステッドラーを使用していましたが、今はハイユニを使っています。

つまり、そのステッドラーに柔らかさと粘りを感じるということは、ダイソーの鉛筆が相当硬いということです。

 

では、硬いと何が問題なのか説明が難しいのですが、シャーペンと鉛筆の違いみたいなイメージをすると分かりやすいかもしれません。

硬すぎることの問題としては、紙を痛めやすいことです。

デッサンを描くときの筆圧は、普段文字を描く筆圧の感覚で描くと、筆圧が強すぎます。

筆圧が強い人の場合は、描いた文字や線を消しても、紙が凹んでしまうこともあると思います。

その上から、描いたとしても、その凹みが白い溝になって浮き出てきてします。

デッサンは、何度も描き重ねたり、消したりすることが前提なので、紙を傷まないように繊細に描く必要があります。

 

粘りないことの問題としては、抑揚が出しづらいということです。

「鉛筆に粘りがある」と表現してもなかなか伝わりにくいと思いますが、わかりやすいように石とスポンジで比較をしましょう。

石とスポンジに絵具をつけて描いた場合、どちらの方が線の太い細いなどの強弱が出せるかイメージすればわかると思います。

ただし、ステッドラーとハイユニはタイプの違いみたいなものなので、硬めのステッドラーの方が好きという方もいると思います。

ダイソーの鉛筆に関しては、タイプの違いの域を超えています。

 

 

 

2つめの問題として「硬い鉛筆(F,H,2H,4H)の濃さの違いがわからなかった」ことがあります。

上の写真だと若干変化があるように見えますが、描いた感じだと鉛筆の濃さの変化は分かりませんでした。

鉛筆の硬さは変わるのに、濃さが変わらないので、描いていて少し混乱しました。

ただし、明らかに硬さの違いはあったので、

「同じ濃さだけど、硬さが違う鉛筆が4種類ある」というような印象でした。

濃い方(HB,2B,4B,6B)に関しては濃さの違いも感じました。

 

 


 

結論としては、最初に書いたように、デッサンをしっかり学びたい場合は、専門メーカーの鉛筆を買いましょう。

ダイソー鉛筆をあえて使うならば、スケッチ程度であれば使えなくないかなと思います。

デッサンのように、しっかり描き込む場合は、ちょっと難しいと思います。

 

また、別の問題点としてダイソーのデッサン鉛筆に限らず、大手メーカーではない場合、急にその商品がなくなったり、

単品で購入出来ない場合があります。

ダイソーの商品はあるときに、急に生産中止になること多々あります。

そのようなことで、描き具合になれたとしても、商品が手に入らなくなる可能性があります。

 

あと、アマゾンや楽天で販売している、謎のメーカーのデッサン入門セットもオススメしません。

メーカー名をGoogleで検索しても、公式HPがないものは要注意です。

また、パターンとして明らかに安すぎるのと、同じような商品を別のメーカーが販売していることがあります。

まず、画材屋さんでそのメーカーの商品は販売していないと思います。

ただし、逆に言えば完全に割り切って、安価でいろいろな画材がほしい場合にはいいのかもしれません。

 

また、説明してきたようにメーカーによって鉛筆の性質に違いがあります。

例えば、同じHBの濃さでもメーカーによって微妙な差があるので、いろいろなメーカーの商品を使うと基準がわかりづらくなります。

 

 

 

 

上記のような商品の例

 


 

 

ということで、ダイソーのデッサン鉛筆について今回は書きました。

ただ、冒頭にも書いたように、110円で8種類の濃さの鉛筆を販売している時点で、どんな品質でも文句をいえる立場ではありません。

個人的には、ダイソーの商品は数を減らして品筆を上げれば十分使用できると感じること結構あるので、もったいなくも思います。

しかし、デッサン鉛筆という、決して需要が多いわけでもない商品を、販売した心意気は素晴らしいと思います。