今回は、デッサンで輪郭線を強調しないほうが良い理由についてお話します。
ちなみに初心者にありがちなパターンで、上の画像なのようなデッサンがその一例です。
このデッサンも、一見するとある程度上手く描けているように見える方もいると思います、
まず、当たり前ですが、私達の生きる実際の世界に輪郭線は存在しません。
ちなみに、デッサンでも仕上げの段階は、輪郭「線」ではなく、輪郭をある程度強調したほうがいいです。
先に今回の結論を言いますと、
特に初心者が輪郭線を強調して描くと、モチーフの陰影の変化を描けてると勘違いする場合があるのでやめた方がいい
ということになります。
ちなみに、上の画像で描いているモチーフはリンゴの面取り石膏像(紙粘土製)で、教室で作ったものです。
面取りとは、ローポリゴンのような物の形を面的に単純化したもので、立体化感を把握するのに役立ちます。
立体感を出すには、物を面的に捉える必要があるので、滑らか物よりもわかりやすいです。
<右:そのままの状態、中央、左:面の境界線を出来るだけ無くした状態>
今回の話は上の画像を見るとすぐわかると思います。
中央と左の画像のように面の境界線をなくすとほとんど陰影の変化がないことがわかります。
「面の角度が違う=明暗が変化している」ので、このデッサンはその違いを描けていません。
この場合は、物の中の形ですが、輪郭線でも同じことが言えます。
同じように強くすると、はっきりと見えるのですが、やはり線を消すと形がボヤついたり、単純に描く密度が足りていない場合が多いです。
また、輪郭線を強調しすぎると、モチーフの中の形(陰の変化)が見えづらくなり、平面的に見えてしまいます。
極端に言うと、シールを貼ったような感じになります。
このようなことで、特に初心者の方は早い段階から輪郭を強調して描くのは避けたほうがいいです。
まずは、出来るだけ輪郭線を強調しないで、モチーフの陰影の変化を面的捉えてに丁寧に描いてみることをおすすめします。