<20代生徒さんの作品です>
今回は背景を描くデッサンについて、上の作品の解説をしながら説明します。
初心者には難しい内容なので、ある程度描ける人向けの内容になります。
描いたモチーフは、白いプラボトル、白く塗ったリンゴの食品サンプル、金属のフォーク、発泡スチロール製のリングです。
具体的な内容としては、背景を暗く描くことで、紙の地の色を多く残しながら、ハイトーンで発色良くモチーフを描くことが出来ること。
また、背景を描くことでより3次元的な空間性(奥行き)を表現できるという話になります。
以下、詳しく説明していきます。
上の画像のモチーフは白い円柱のデッサンです。
背景を描かないで白いものを描こうとすると、どうしても黒っぽくなってしまう問題があります。
最初の画像を比較すると違いがわかりやすいと思います。
だからといって、モチーフを描き込まないと形にならないわけです。
作品の解説
(※作品が青っぽくなっていますが最初の画像が本来の色に近いです)
白いものを発色良く描くには、背景を描きことで周りを暗くし、紙の地の白さを出来るだけ残しながら描く必要があります。
白い紙をより白くすることは出来ないので、周りを暗くすることで対比関係を使ってより白く鮮やかにする描き方になります。
また、その場合は黄色がかった紙を使よりも、出来るだけ白い紙を使ったほうが対比が強くなります。
例えば、下の商品のように同じ紙質でも、白いものと、やや黄色い紙などが売っています。
講師的にはデッサン、水彩、パステルなどを含め、基本的に白い紙をお勧めで無難です。
(リンクをクリックすると紙の色が分かる画像も見れます。)
<ボトルの輪郭外側の明暗の細かく変化を描いている>
<実際の空間は3次元のいろいろな方向性(奥行き)がある>
上の画像でも説明していますが、ボトルの輪郭外側の背景の明暗は細かい強弱の変化があります。
実は、この変化は実際の空間でも起きています。
また、その変化は講師のイメージとしてはモチーフ周辺の大気的なものを描くような感じです。
背景を平らな面ではなく、3次元的にイメージすることが大切です。
<実際の空間では様々な光の変化をしている例>
また、何でもいいので周りにある物の輪郭を、出来るだけよーく見てみましょう。
とにかく、出来るだけしっかり、じーーーっと見る(観察する)ことが大切です。
そうやって見ると、その輪郭線がただの直線だったとしても、明暗が細かく変化していることがわかると思います。
例えば、 上の画像のように、物の輪郭線が単純な垂直だとしても、周辺の明暗には様々な変化があります。
状況によっては、明暗が部分的に反転することがあることも、重要なポイントです。
実際の空間の明暗の変化は、とても複雑で情報量があります。
<生徒さんの描きと途中の作品>
ちなみに、鉛筆で背景などの広い面を、フラットに描くことは結構技術が必要になことと、時間もかかります。
上の画像のように、紙の白さ活かしながら、発色良く描く方法として、
モチーフの輪郭の外側周辺だけを暗くという方法もあります。
今回は背景を描くデッサンについての話をしました。
内容的には、趣味の教室以上のことなので難しいと思います。
普段、生徒さんに説明するときは、1人1人の状況を見て、時間をかけて説明する内容です。
もっと詳しく聞きたいという方がいましたら、教室にお越しいただければ幸いです。