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中、上級者向けの具体的な指導例<水彩、構図、絵画全般>


< 今回のご協力頂いたのは水彩画の生徒さんです >

 

 

今回はタイトル通り「中、上級者向けに具体的に授業で話をしたこと」を投稿します。

作品を見ると描く力(描写力)がかなりあることが分かると思います。

そんな生徒さんですがここ1年ぐらいは構図について特に力を入れて指導しています。

少し言い換えるとこちらの生徒さんの場合は構図が苦手ということですね。

 

ちなみに前提としてこちらの生徒さんは特殊な授業の仕方をしています。

教室の近くのお家で2名の生徒さんが授業をしているのですが、その関係で授業時間の始めと終わりにそちらへ行って指導するという形になっています。

今回の問題については基本的に下書き段階でアドバイスをするので教室の中では起こりにくいことです。

 


 

 

本題に移ります。

このとき話した内容は「葉っぱの重なりや前後感が分かりにくい」という話です。

 

その理由について2点話しました。

 

①別々の葉っぱが繋がって見えること。

②全体的に色が似ていること。

 

こんな内容でした。以下に詳しく書きたいと思います。

 

 

 

< ①本来の形 >

 

 

< ②間違っているけど見えてしまう可能性がある形 >

 

 


上の画像をの①②を比較してみましょう。

ABCはそれぞれ1枚の葉っぱです。

①が本来の葉っぱの形なのですが、今の構図(配置、重なり方)だと②のような形に見えてしまう場合があります。

実際②の形に見えていた人もいると思います。

 

これは隣の葉っぱの輪郭に沿う形で他の葉っぱが配置してあることが一番の原因です。

Aの葉っぱの形がBCの葉っぱの輪郭に滑らかに沿っているために②の形に見えてしまうということです。

そのようなことでこの場合のアドバイスとして、

 

・B、Cに対してAの葉っぱの輪郭が沿わないように配置する。

・B、CとAが重ならないように離して描く。

 

ということが効果的です。

色の調整などでもある程度わかりやすく出来ますが最初の構図の段階でこれに気がつくことがとても大切です。

特に描く力がある場合、構成をあまり考えずに描き込んでからあとあと気づいて苦労するということも多々あります。

また自然のものや状況はそのまま何もしないで描くと不自然に見えることや見ずらいことが多くあるのがポイントです。

良い絵の場合、一見普通の状況に見える絵でもその物や状況が「それらしく見えるように」取捨選択をしています。

自然な(自然に見えるような)状況を描くというのは案外難しいものです。

 

上記は今後描く際に気をつけることですが、現状でどうにかしたい場合はとにかく「葉っぱが別々に見えるようにすること」です。

具体的には

 

a:全体的に使っている色が似ているので葉っぱごとなどで色味を少し変えて見やすくする。

b:前後感を強調するために葉っぱ同士のコントラスト(明暗の対比)を強くする。

c:重なっている後ろ側の葉っぱが目立たないように色の変化をおさえる。

 

こんなことが考えられます。

 

 

< 修正前 >

 

 

< 修正後 >

 

 


とりあえず、修正が簡単そうなAの葉っぱとその奥の葉っぱの前後感が分かりやすいようにPC上で調整してみました。

修正後の方が前後感が見やすいと思います。

具体的にしたことは、奥の葉っぱを暗くしてとAの葉っぱとのコントラスト(明暗の差)を強くしたことと、

奥の葉の色味の差が目立たないとように馴染ませたことです。

また、結果的にAの葉っぱの色味とより離れたので上記のa,b,cを全てしたことになります。

 

基本的な描き方として、奥にあるものに細かい密度や色々な色彩があると手前に出てくるように見えるので前後感が出にくいです。

つまり、描けるからといって描きすぎると奥行きや立体感が出ないことがあります。

大切なのは「関係性」です。

「何をどのように見せたいか」など優先順位を決めてそれを基準にして比較することがとても重要になります。

 

 

そのようなことで今回は「中、上級者向けの具体的な指導の話」をしました。

もし教室にご興味をお持ちいただけましたら気軽にお問い合わせ下さい。