絵を描くのに一般的に言われる「才能」や「センス」は必要ありません。
本当に必要なのは興味をもって継続することです。
「私は絵を描く才能がないから...」、「センスがないから...」などの話をよく聞きますがそれは大きな誤解です。
例えば、「物を自然に立体的にある程度描けるようにする」ことに一般的に言われる「才能」や「センス」は必要ありません。
なぜか美術や絵画は全て「センス」や「才能」の話になることが多いと講師は感じますが、描くための明確な方法や基礎、理屈があります。
ただ、基礎を学ぶ場合どうしても訓練的なことが多いので最初から自由に自分の思い通りに描けると思っているとそこで挫折することが多いとも感じます。
例えば、テニスを始めるとしましょう。
講師は中学生時代にソフトテニス部でした。
当然ですが最初から試合をしても上手く出来ません。
そもそもラケットにボールが当たらなかったり、試合のルールを知りません。
そのようなことで最初は素振りをしたりルールを覚えたりします。
楽器などでイメージしてもいいかもしれません。
これを絵の話にしてみましょう。
上の左の図の立方体の赤と青の辺を比べると青の方が短いです。
理由は距離で見ると赤が手前で青が奥だからです。
同じ長さのものでも奥にあれば当然短くなります。
右の図の円柱と楕円の描き方は製図のような印象があると思いますがこれが基本になります。
<円柱と楕円の描き方>の赤い線は補助線と言い、これを基準にして描いていきます。
これらのことを知らない場合は何となく「センス」や「才能」で描いていると思われがちですが、このように絵を描く場合にも明確なルールや基本があります。
また、この2点は知識として知っているかどうかが重要で描く技術面は基本的に関係ありません。
ただ、スポーツと同じで基礎は訓練的なことや覚えることがどうしても多いのでしっかり身につけたい場合はそれを継続する力が一番大切ということになります。
大切なことは「興味をもって継続すること」です。
これは物事を学ぶ上で全てのことに共通することだと思います。
講師が美術予備校に入った当時は一番下手な生徒でした。
「アトリエもりのさと」が自信を持っているのは
講師の様々な試行錯誤と失敗の積み重ねであり、それを解決してきた数にあります。
< 講師が美術予備校に入った当時の絵 >
講師は油絵が専門ですが油絵を描き始めたのは高校3年生の3学期からです。
高校の3年間、講師は工業高校のデザイン科に通っていましたが生活の中心(ほぼ全てと言っていいです)はバスケットボール部での部活動でした。
美大受験は浪人前提で受け、その後4年間浪人をしました。
講師の受験当時、美大受験をする場合は遅くとも高校3年生の春から美術予備校に入るのが一般的でしたのでかなり遅いスタートでした。
また、何もしらない状態だったので当然一番下手でした。
さらに不器用で描き方などを感覚的に理解するのが苦手でした。
また、美大受験(特に私立)は「受かる絵のかたち」というものが大体ありました。
講師(私)は「それは自分が描きたい絵じゃない」、「受験で受かってもその後には通用しない」と強く思っていたのでそのような絵を描くリアリティがまったくありませんでした。
そんな中、当時はとにかく絵画関係の本を読んだり、浪人生が普通は受けない現役生向けの授業も受講して描く時間を多くしていました。
幸いにも講師(私)の考え方をとても尊重してくれた予備校の講師の先生に指導して頂き、とても時間はかかりましたが長い目で見て通用する能力を身につけて大学に入学することができました。
ちなみにここでの「長い目で見て通用する能力」とは「自分の今の状況を客観的に見る力と自分の表現を探ること」です。
予備校4浪 「想定(言葉のイメージのみで描く)デッサン」
予備校3浪 油絵
<大学学部1年 テンペラ実習>
上の写実的な絵は講師が大学の学部1 年生の時に授業で描いた絵です。
写真を切り張りして(「コラージュ」という技法になります)それを元に出来るだけ正確に模写するという課題でした。
実は講師はこのように物を写実的に描くのが一番苦手です。(特に人物が一番苦手でした)
ここまで描けるようになるにはかなり苦労しました。
そんな講師でも予備校時代に時間をかけてしっかり理解しながら学びこの程度には描けるようになりました。
大学入学後は「受験の基準」から解放され自由に描くことが出来ました。
また、講師はすぐに外部での発表を考えていました。
幸いにも学部の1年生からギャラリーと関係を持ち、翌年からは海外での発表が中心になっていきました。
<大学学部2年生時の絵画>
<フランス(パリ)での展示(アートフェア)>
<大学院1年生時の作品(ドイツ「ベルリンタイムス」掲載)>
<卒業後、ドイツ(ベルリン)での展示(アートフェア、一番右の作品)>
このようなことで浪人時代から大学、卒業後から今まで得た多くの失敗や経験、また現在の活動での知識や技術など講師が出来る範囲で教えていきたいと思っています。
また、生徒さん1人1人にあった指導を考えて基礎を教える場合でもその生徒さんの個性に合った方法をお互いのやりとりの中で考えながら進めていきます。
基礎でもどこからスタートするか、どのモチーフ、描き方がその人に合っているかなどは違いがあります。
この教室が1人1人別の課題をするのはそれが理由です。
そして、それを見極めるのが指導者として腕の見せ所だと思います。
その場限りではない技術や知識、さらに応用力を身につけ、最終的に生徒さんが楽しく自由に絵を通して表現できるような指導を心がけています。
もちろん、しっかり学ぶというよりは短い期間で楽しみながら手軽に描きたいとなどのリクエストも歓迎です。
「こんなことをやってみたい」、「何がしたいか分からないけど教室に通ってみたい」という方は是非気軽にお問い合わせください。
教室にお越しいただくのを楽しみにしています。
アトリエもりのさとは「あなたのための絵画教室」です。
アトリエもりのさと 講師 小川晴輝
<アメリカ(ニューヨーク)での展示(アートフェア、一番右の作品)>
<講師のスタジオにて撮影>