この話は授業でもすることが多々あります。
タイトル通り、見たままを描いても絵はなかなかそのようになりません。
先に結論をいうと、
「三次元を二次元に変化する場合にはそれに伴った表現方法が必要」ということです。
例えば、この写真のような風景をデッサンで描きます。
これを見たままのように写して描くとある問題がでます。
実際に描くのは大変なのでこの写真を白黒にしてデッサンを描いたイメージをしてみましょう。
白黒だとこんな感じです。
大雑把にですが、ここで1点問題があります。
どこかわかるでしょうか?
正解は右側にある「インターフォンの子機」です。
棚には「クレパス(クッキー)の箱」と「消臭剤」と「インターフォンの子機」があります。
見ている視点(描いている視点)からの距離は横並びなので基本的に同じです。
でも、インターフォンの子機だけちょっと薄くぼやっと見えないでしょうか?
そのまま描くとこの3つが同じ距離にあるようにはちょっと見えませんよね。
この原因はインターフォンの子機と背景が同系色だからです。
ちなみに棚の色もそうですね。
そんなわけで周りと馴染んじゃうんですね。
こういうときはインターフォンを少し強調して描く必要があります。
バリエーションはあると思いますが例えば、輪郭付近の周囲を少し暗くしてインターフォンの子機が
浮き出るようにするなどがあります。
こんな感じで3次元から2次元に変換する場合にはそれに伴った表現方法が必要なわけです。
「一つ上の次元の状況を紙や鉛筆、絵の具などのさらに限定された物質に描くのだから何かしら違う方法を使わないと再現できない」
というのは落ち着いて考えれば納得できると思います。
また、極端な例えとしては「黒い紙に描く場合」は白い用紙の描き方と違う表現方法でないと自然な状況にならないわけですね。
とは言っても「モチーフをしっかり観察する目」はとても大切で、
その上でさらに「どう描けば自然な状況になるかという技術的なこと」ということもとても大切だということですね。